【ほうじ茶の人気は止まらない!その秘密をご紹介】

ここ数年、大手コーヒーチェーンからほうじ茶フラペチーノが発売されたり、食品メーカーからほうじ茶のアイスクリームやお菓子が続々登場したりと、ほうじ茶が注目を集めています。
どうしてここまでほうじ茶が日本人に支持されるのでしょうか。
日本人を惹きつけてやまない「ほうじ茶」の魅力と歴史に迫ります。

 

ほうじ茶の特徴

「ほうじ茶」とは、煎茶や番茶などの茶葉を焙煎したお茶のことです。一番の魅力は、リラックス作用のある芳ばしい香りとスッキリとした味わい。焙煎することで、お茶の苦み成分であるタンニンが減少し、苦みと渋みが少ないのも特徴。カフェインの量に関しては煎茶や玉露、紅茶、コーヒーに比べると少なくなっています。

 

ほうじ茶の香りはどこから?

ほうじ茶の魅力といえば、その芳ばしい香り。なぜほうじ茶はそのような魅惑の香りを放つのでしょうか?
お茶博士としても知られる大妻女子大学名誉教授・大森正司先生の文献も参考にしながら紹介していきます。
大森先生によると、リラックス効果のあるほうじ茶のいい香りは、科学的にこう説明できるようです。

『ほうじ茶は、茶葉に含まれる成分のアミノ酸と糖が熱に反応して、香ばしい匂いを生成します。これはアミノカルボニル反応と呼ばれ、すき焼きや蒲焼、ビスケットやパンなどの匂いもこの反応によるものです。』※

「アミノカルボニル反応」によって発生するほうじ茶の香り成分は「ピラジン」、「ピロール」、「フラン」と呼ばれます。
「ピラジン」は、芳ばしい香りを生み出す成分の代表格。リラックス効果が期待でき、疲労回復や血液促進にもよいと言われています。
「ピロール」はほのかに青臭みを帯びた成分で、「フラン」は甘い香りを放つ成分です。このような特殊な香り成分によって、あのほうじ茶のいい香りが生み出されていたのです。

ほうじ茶

ほうじ茶が茶色・褐色なのも「アミノカルボニル反応」によるものだそう。確かに、すき焼きやビスケットも褐色です。そのほか、チョコレートやおせんべい、ご飯のおこげも同様の反応が作用しているとのことです。「アミノカルボニル反応」はとても身近な存在です。

※参考『お茶の科学 「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ(大森 正司)

ほうじ茶の歴史

では、ほうじ茶はいつ頃から日本人を癒してきたのでしょうか?
ほうじ茶が誕生したのは昭和初期、京都の茶商が考案したと言われています。
お茶屋は当時、昭和恐慌による不況のあおりを受け、お茶が売れず、大量の在庫を抱えていたそうです。
お茶の保存技術はまだなく、お茶は茶箱に入れて倉庫におかれたまま。お茶はすぐに劣化し、売れ残ったお茶は処分するしかありませんでした。
そういった苦しい状況のなか、京都の茶商が事態を打開する策として「ほうじ茶」が開発されたというストーリーが語り継がれています。

一説によると、その茶商は、京都大学に古くなったお茶を持ち込んで、教授に相談し、茶葉を乾燥させて焙煎するというアイデアをもらったのだとか。
その後、お茶の消費が全国的に伸びるのに比例し、各地にほうじ茶の文化が広がっていきました。

明治時代と思われる日本の茶園風景

しかし、ほうじ茶ようなお茶は明治や大正時代に存在していたと言う説も。実際のところ、ほうじ茶のはじまりに関する公式な記録や文献は残されておらず、確かなことは謎に包まれています。

 

加賀棒茶とは?

日本のほうじ茶文化のなかでも、個性的なのが石川県を中心に広まった「加賀の棒茶文化」です。近年では、大手カフェチェーンの「スターバックス」やチーズタルトの「ベイク」、飲料メーカーの「ポッカサッポロ」といった企業から加賀棒茶関連の商品が販売され、話題を集める「加賀の棒茶」。その歴史を探ります。

一般的に「棒ほうじ茶」や「茎ほうじ茶」と呼ばれる、お茶の茎を焙煎したほうじ茶の発祥は、金沢市だと言われています。

 

江戸末期から明治にかけて主要な輸出品だったお茶。大量のお茶が生産される一方、製造過程で取り除かれた茎は商品にならず処分されていました。
その茎に目をつけた金沢市のお茶屋・林家新兵衛が明治35年、茎を焙煎したほうじ茶「棒茶」を開発。一般庶民向けの手頃な価格のお茶として商品化したため、棒茶は金沢・加賀地方で普及。今では石川県でお茶といえば「棒茶」と言われるまでの存在になりました。

 

昭和58年、石川県の棒茶に新たな歴史が生まれます。加賀市にある老舗のお茶屋が、金沢市を訪れた昭和天皇に棒茶を献上。天皇はその味に満足され、お持ち帰りになったという逸話が残っています。

金沢市のひがし茶屋街

その後、そのお茶屋が「献上加賀棒茶」という名前でほうじ茶を製品化。それをきっかけに「加賀棒茶」の名前が広く知れ渡りました。
現在では、石川県の多くのお茶屋が独自の製法で「加賀の棒茶」を販売し、金沢市や加賀地方の棒茶文化を育んでいます。
ほうじ茶といっても、お茶屋ごとにその製法、焙煎度は異なります。
ぜひお口に合う、お気に入りのほうじ茶を見つけてください。

 

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静岡棒ほうじ茶

¥918 税込

 

「静岡棒ほうじ茶」は、日本有数の茶産地である静岡県牧之原地区の茶葉から取れた上質な茎を使ったほうじ茶です。
 

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Editor

  • 三浦一崇
  • 三浦 一崇
    Kazutaka Miura

    NewTitleディレクター。雑誌編集者として5年、PR会社で広報マンとして3年、メディアの仕事に携わってきた経験を生かし、ジャーナリズム精神を忘れず、お茶のおもしろいことを発信中。

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