病気・老化予防にも効果を発揮。
緑茶に含まれる「カテキン」の抗酸化力とは?

高濃度茶カテキンのお茶がトクホとして大ヒットして以来、お茶は”カラダにいいもの”と誰もが知ることになりました。
そうは言っても、野菜ジュースやヨーグルト、スムージーといった飲み物だって、カラダにいいですよね。

実際のところ、お茶の何がどうカラダにいいのでしょうか?
日本茶インストラクターの柳井優香が、お茶が持つ効果効能についてご紹介します。

 

薬として愛用されたお茶

お茶は紀元前に中国で生まれ、それから何千年も世界中の人に飲まれています。これってすごいことだと思いませんか?
まだ科学も発達していない頃から、お茶を飲み続けた理由は単においしいからだけではなさそうですね。

お茶について書かれた古い文献から、昔の人はお茶を飲むと、なんとなく元気になるとか、病気が回復するとか、長寿でいられるとか、カラダへの効果を体感していたことがわかっています。

 

お茶が飲まれ続けてきた背景には、”薬としての貢献”があったようですね。
でも実は、緑茶の成分と効果効能が研究で明らかになり、お茶がカラダにいいとわかってきたのは、ごく最近のこと。昔の人のカンは当たっていたということになります。

 

では具体的に緑茶にはどのような効果効能があるのでしょうか?
緑茶にはいろいろな健康成分が含まれていますが、その中でも特に私たちのカラダに優れた効果をもたらしてくる「カテキン」について紹介します。 

 

お茶の抗酸化力とは?

「カテキン」を理解するにあたり、重要な「活性酸素」について解説します。
私たちが生きていくためには「酸素」が必要です。
しかし、呼吸などでカラダに取り入れた「酸素」の一部は、さまざまな要因で「活性酸素」という物質に変わってしまいます。
この「活性酸素」が、私たちのカラダに結びつくことで、人間にとって必須の栄養素「タンパク質」や「遺伝子」を壊してしまうことがあるんです。
カラダの中の「活性酸素」は、ストレスや飲酒、大気汚染、紫外線が原因となって増加します。

 

「活性酸素」が元になり、カラダにダメージを与えてしまうことを「酸化」といいます。

 

そして、「活性酸素」による「酸化」が体内で進行すると、老化や動脈硬化、脳卒中、ガンなどの病気の元になってしまいます。
このように「酸化」によって引き起こされる有害な作用を「酸化ストレス」と呼びます。
私たちがかかる病気の
80%が、「酸化ストレス」によるものと言うお医者さんもいます。

「酸化ストレス」ってこわいですよね。

でも大丈夫。私たちのカラダにはもともと「酸化ストレス」に負けない「抗酸化力」がそなわっているのです。
「抗酸化力」とは、これまで紹介した「酸化」の根源「活性酸素」の働きを阻止するチカラ。それでも忙しい毎日の中で、不規則な生活になると、「抗酸化力」が落ちてしまうこともあります。

 

そんな時は、緑茶を飲みましょう。
緑茶に含まれた「カテキン」が「抗酸化力」を高めてくれるのです。

 

カテキンとは?

ここからは「カテキン」の紹介です。
「カテキン」は「ポリフェノール」の一種で、お茶に特有の苦渋味成分のもになる物質です。
ちなみに、「ポリフェノール」はほとんどの植物に含まれる色素や苦渋味の成分。植物の葉や種を紫外線などによる「酸化」から守る役割を果たしています。
ツバキ科の植物であるお茶の葉が成長する段階で、「酸化」から守るために「カテキン」が作られます。
まさに、植物のチカラです。

「カテキン」の特徴は、高い抗酸化力。緑茶に含まれる「カテキン」は、ワインやココアなどに含まれているポリフェノールと比べて、優れた「抗酸化力」があるという研究成果が出ています。
この
「カテキン」の高い抗酸化力がもたらす、緑茶の抗酸化作用が、ガンなどの病気や老化を予防し、体内の栄養や遺伝子を守ってくれるのです。

 

緑茶の美容効果とは?

緑茶が健康にいいということは、美容にもよさそうですね。続いては、緑茶と美容の関係を解説します。
忙しい毎日で、ふと鏡を見たらとても疲れた顔をしていたこと、ありますよね。できれば毎日一度は、自宅でゆっくり一杯の緑茶をいれて飲める、そんなゆとりがほしいですよね。

緑茶に含まれる「カテキン」は高い抗酸化力があるというお話をしてきました。ほかにも緑茶は「ビタミン」や「アミノ酸」、「ミネラル」などの成分が含まれていることがわかっています。
特に豊富に含まれているのが「ビタミンC」。美容に「ビタミンC」は欠かせませんよね。コラーゲンの生成を助けたり、メラニンの生成を抑えたり。

 

なんと緑茶の「ビタミンC」は、特別な「ビタミンC」なのです。「ビタミンC」は熱に弱いですが、緑茶の「ビタミンC」は熱いお湯で淹れても、壊れにくいのです。
「ビタミンC」が熱に強いのは「カテキン」と結びついていて、守られているから。
また、「ビタミンC」は烏龍茶や紅茶には含まれていません。緑茶だけの贅沢なのです。果物や野菜で「ビタミンC」をとるのもいいですが、あたたかい緑茶で簡単にとれるのはうれしいですね。

 

ところで緑茶は、ペットボトルでも売られていますよね。
種類が豊富で、手軽で持ち運びにも便利。でも、ペットボトルの緑茶は急須で淹れた緑茶と成分は違うのでしょうか?
次はその違いをみていきましょう。


ペットボトルと急須で淹れたお茶の違いは?

ペットボトルと急須で淹れたお茶は違うのか。これはまったく別物と思ってください。どっちがいいとか悪いとかではなく、味も、飲み方も、成分もまったく違います。
ペットボトルのお茶の多くは、のどを潤すために飲みませんか?
いわゆる”止渇”のお茶です。

急須で淹れたお茶も、もちろんのどを潤しますが、食後、ほっとするときにも飲みますよね。
いわゆる”嗜好”のお茶です。

急須で淹れたお茶は、茶葉を多く使って、しっかりした味わいです。
ペットボトルと比べて、急須で淹れたお茶は、渋味成分のカテキンが2.5倍も入っているという研究結果がありますが、同様に甘み成分のアミノ酸も多いため、そんなに渋くは感じません。

 

つまり、ペットボトルの緑茶はごくごく飲めるよう、甘みも渋みも薄くし、すっきりと仕上げているということです。
「カテキン」や「ビタミンC」などの健康的な成分をとりたいのでしたら、急須で淹れた緑茶をお勧めします。
でも緑茶はサプリメントではないですよね? ペットボトルも急須の緑茶もシーンによって上手に使い分けかできればいいと思います。
”止渇”と”嗜好”。どちらも私たちの暮らしにとって欠かせないことですから。

 

ここまで緑茶の効果効能ついてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか?
お茶が何千年も飲み続けられてきた理由が、わかる気がしますね。いろいろな機能を持たせた健康食品がある中、ナチュラルで、こんなにカラダにいい緑茶。もう一度、緑茶のよさを見直してみてもいいですね。

Editor

  • 柳井 優香
    Yuuna Yanai

    2015年に日本茶インストラクターの資格を取得し、日本茶の魅力を伝える活動をしている柳井優香です。 大学卒業後、飲料メーカーに勤め、無糖茶の開発に携わってきました。現在は一男一女の母として、仕事と家事に奔走しています。 働く女性として、日本茶と健康のことを紹介していきます。

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