東京・御茶ノ水に和カフェ『大三萬年堂HANARE』 がオープン
老舗和菓子屋の13代目が手がける“進化形”和スイーツとは?

兵庫県たつの市にある、江戸時代から360年余り続く和菓子店「大三萬年堂(だいさんまんねんどう)」。その昔、お殿様にも献上していたという伝統製法で作られた和菓子の数々が、今もなお地元の人々に愛されている老舗です。

その大三萬年堂の13代目が手がける和カフェ『大三萬年堂HANARE』が、2019年6月19日、東京・御茶ノ水にある商業施設「ワテラスモール」にオープンしました。

和とモダンが融合した雰囲気の店内

お店のプロデュースとメニューの開発を行ったのは、「大三萬年堂」の13代目、安原伶香さん。温故知新、和洋折衷をキーワードに、女性らしい視点を生かしてメニューを考案しています。

HANAREの安原伶香さん

米粉パンにあんこやフルーツをはさんだ「どらぱん」や、竹筒に入った「大三ぱふぇ」、酒粕と日本酒を使用した真っ白なカステラ「酒粕テラ」など、オリジナルの和スイーツをメインに、和素材を使った食事メニューまで、ヘルシーでキュートなメニューを展開。
いずれもグルテンフリーだったり、発酵食品を使っていたりと、現代の働く女性を代表する安原さんならではのセンスがキラリと光ります。

 

それら個性的なスイーツは「醤油饅頭」に代表される、創業当時から受け継がれる大三萬年堂本店の伝統和菓子とは、異なる”新感覚”和スイーツと呼べるもの。
その誕生の裏には、安原さんが先祖代々受け継いできた和菓子や日本文化への愛、そして次世代への文化の継承という使命感がありました。

 

 

老舗和菓子屋の13代目として

幼少の頃から和菓子作りを手伝い、茶道や着付けも日常のなかで身に着けてきたという安原さん。和菓子愛を感じつつも、20代前半まで実家を継ぐことに迷いがあったといいます。
そんな安原さんにとって、転機となったのは大学入学と同時に始めた東京生活でした。

 

「東京で過ごした大学時代、そして、卒業後に7年間務めた東京の会社でも、和菓子屋である兵庫の実家の話をすると、みんなすごいねと言ってくれて。東京で暮らすなかで、13代目である私が先祖代々守ってきた和文化を14代、15代へと伝えることが、自分の使命だと、思うようになっていきました」と安原さん。

兵庫県たつの市に店を構える「大三萬年堂本店」

老舗和菓子店の13代目として和菓子への造詣は深く、東京でも数多くのお菓子を食べていた安原さん。まずはお菓子の分野でできることから始めようと思い立ち、雑誌「Hanako」に直接コンタクトを取り、スイーツライターとしての活動をスタートさせたそうです。

 

「多くのお菓子屋さんを取材させていただくなかで、洋菓子職人の素材使いの大胆な組み合わせだったり、華やかなデコレーションだったり、自由な発想を目の当たりにして、これは和菓子の世界にはないものだなぁと実感したんですね。そして次世代に和菓子の魅力を伝えるためには、こういった新しい感性が必要だと思ったんです」と安原さん。

お店への想いを語る安原さん

器使いやデコレーションの美しさ、斬新な素材の組み合わせなど、トレンドをうまく取り入れたオリジナルの和スイーツは、大三萬年堂の伝統の味に、安原さんのこれまでの経験が融合して生まれたのです。

 

ライターとして「Hanako」にスイーツコラムの連載を持つだけでなく、企業とコラボレーションして和菓子教室を開催するなど、和スイーツ研究家としても活動の幅を広げ、各種メディアにも登場するようになった安原さん。
こうした活動のなかで培った繋がりが、「HANARE」のオープンを後押ししてくれたといいます。

お店まではJR御茶ノ水駅から徒歩約3分、丸ノ内線 淡路町駅から徒歩約2分

「いろいろな方のご縁に恵まれて、かねてから思い描いていた通り、30歳の誕生日に、ひとつの目標だった自分のお店のオープンを達成することができました。苦労もありましたが、“次世代への継承”というブレない軸があるので、乗り越えられました」

 

「つらい時に思い出すのは、今は亡きおじいさんの存在なんです。私が和菓子屋を継ぐよっていった時、泣いて喜んでくれた姿を思い出すとがんばれるんです」

 

オープンまでの経緯をそう話してくれた安原さん。続いて、スイーツへのこだわりを教えてくれました。

 

 

本店秘伝のあんと安原さんの感性が融合

看板メニューの「どらぱん」に使用しているあんこは、安原さんが大切にする大三萬年堂本店秘伝の味。上質な小豆を使い、今でも伝統製法で安原さんの父が2日かけて練り上げてるのだそう。気温や湿度などを考慮して火入れを微調整するといった、機械ではできない技術が、誰もが「おいしい!」というあんこを生み出しています。

 

そのあんこを活かすために開発したメニュー「どらぱん」は、「あんバター」「いちごピスタチオ」「ほうじ茶チョコ」「たまご焼き」の4種がラインナップ。グルテンフリーの米粉パンの素朴な味わいとほんのりとした塩気が、あんこのおいしさを引き立てます。

どらぱん(あんバター、ほうじ茶チョコ、たまごやき、いちごピスタチオ)

「和スイーツに合わせて揃う日本茶のなかでも、おすすめのペアリングはどらぱんのあんバター×レモン煎茶。あんと発酵バターのリッチな味わいと、爽やかなレモンの香りがよく合います」と安原さん。

看板メニューのひとつ「大三ぱふぇ」と「レモン煎茶」

同店は日本茶のメニューも豊富。茶葉の提供は製茶問屋「カネカ北川製茶」が行ない、福岡県八女産の玉露や静岡産の煎茶をはじめ、沖縄の月桃を使った月桃番茶や桜茶、和紅茶などが味わえます。
さらに、甘酒チーズティーや抹茶ラテ、ほうじ茶ラテなど、アレンジティーも豊富です。

日本茶はスタッフが一杯ずつ丁寧に淹れてくれます

さらに、食事メニューも充実。「とうふめし」や「黒酢ソースの和風ロコモコ」などのヘルシー丼をはじめ、肉か野菜をメインに小鉢3種・味噌汁・もち麦ご飯がセットになった「おばんざい」、日本酒がセットになった「晩酌セット」といったメニューもあります。

ヘルシーな「おばんざい」

「目指すのは、和スイーツを軸に和文化を次世代へ継承していくこと、海外へ和の魅力を発信していくこと」と語る安原さん。今後は、本店の伝統の味を守りつつ、「HANARE」の海外へのフランチャイズ展開も視野に入れているそう。

 

「本店のあるたつの市ではなく、あえて東京にHANAREをオープンさせたのは、発信力があるから。多くの人に知ってもらって、それが本店のあるたつの市の地域活性にも繋がればと思います」と安原さん。

 

確固たる信念を持った安原さんの和スイーツが、東京だけでなく、海外で人気を博す日も遠くなさそうです。

 

 

店舗情報
住所 東京都千代田区神田淡路町2-105ワテラスモール1F
電話 03-6260-8857
営業時間 10:00~21:00(不定休)
http://d3hanare.tokyo/

Editor

  • 尾崎 美鈴
  • 尾崎 美鈴
    Misuzu Ozaki

    ライター歴15年。主にグルメサイト・グルメ情報誌の仕事に携わる。国際線CAと10年に渡るバンコク暮らしの経験を生かし、国内外の食文化・食事情を取材、情報を発信中。時間を見つけてはふらりと海外を訪れ、現地の知られざる美味と美酒、珍しいお茶を発掘するのが趣味。

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