ロック魂が宿る日本茶専門店が、地元商店街とお茶業界を盛り上げる!

みなさんにとってお茶業界とは、どのようなイメージだろうか?
近年、粉末茶を使ったソフトクリームや抹茶のお菓子などはよく目にするし、ペットボトルのお茶は何種類も売られている。しかし、急須を使ってお茶を飲んでいる人は、一体どれくらいいるのだろうか?

「お茶業界を盛り上げたいし、お茶をもっと楽しんでもらいたい」と語るのは、東京都目黒区にある『茶舗 大坂や』三代目店主の三室茂さん(36)。店の向かいにある八雲小学校に通う子どもたちが「しげちゃーん!!」と手を振るくらい、親しみやすい雰囲気。産まれた時から八雲に暮らし、26歳の時にお店を継いでから10年になる。
今年の7月で創業41年になるお店には、継いだ時からの常連客が多いが、最近はお茶に対してこだわりを持つ客も来店するという。
「お店にあるお茶を、全部飲んでみたいです!」と言って、値段の低い茶葉から高い茶葉へと順番に購入していく客が、同時期に2人現れたという。
「お茶に興味を持ってくれて本当に嬉しいです。こだわりを持ったお客様がいつ来店されても、すぐにお茶や抹茶のことを教えてあげられるお茶屋さんでありたいな」。

お店を継ぐ前はロックバンドのミュージシャンとして活躍していた三室さん

そう話す三室さんにオススメのお茶を尋ねると「その質問にはいつも困るんです」とピシャリ。「お客様の好みを聞いて、その方が飲みたいお茶を想像してオススメすることが仕事ですから。濃く出るお茶や華やかな香りのお茶など、お客様の気持ちに寄り添って選びたいです」。
そういう自身の好みのお茶は、熱々よりも少し低い約80度のお湯で入れた、苦味が舌に残る濃いお茶だそう。三室さんの毎日は、お茶で始まりお茶で終わると言っても過言ではない。
朝昼晩の食事は、お茶を飲み終わって初めて「ごちそうさまでした」。帰宅後、お茶を飲んで初めて「ただいま」。「さて、次のことを始めるか!」という時には、お茶を飲んで切り替える。そのように三室さんの日常は、お茶にモチベーションを左右されているのではないだろうかと感じるほどお茶が生活の一部になっている。

三室さんに好みを伝えお気に入りのお茶をみつけてみほしい

しかしそんな三室さんでも、毎日は同じようにお茶を淹れられないという。「別に同じじゃなくてもいいんじゃないかな。むしろ、全然違う味になるところが面白くて好きです。今日はすごくうまく淹れられたなとか、今日はちょっと苦すぎたなとか。感じ方の違いを楽しむ余裕のある方が増えてくれればいいな」。
そもそもお茶は、ホッと一息できるような時間の側にあるもの。単純な水分補給ならペットボトルのお茶で充分だ。眉間にシワを寄せて「昨日と同じ味になれー!」と淹れても息が詰まってしまいそう。お茶を淹れるって、そのくらい気軽に考えてもいいのかもしれない。

『茶舗 大坂や』は町の人に親しまれ、商店街になくてはならない存在になっている

『茶舗 大坂や』がある商店街の八雲通り共栄会は、お客様も店主同士も顔見知りで、人と人との距離が近い。三室さんは商店街の中でダントツの若手とあって、地域のイベントもよく手伝っているという。焼き芋大会や盆踊り大会のように、いずれは、お茶について子供達に伝える機会も持ちたいとのこと。
「そのために、日本茶インストラクターの資格を取りました!」と言って、分厚いテキスト3冊を見せてくれた。お茶の歴史や科学的な効能、栽培方法から農薬など範囲はとても広く、どの項目から出題されるかわからないという。テキストには、三室さんが引いた黄色いマーカーの線がいたるところにあり、満遍なく読み込んだ努力の跡が感じられた。
資格を取得したことで、より自信を持ってお客様に勧められるようになったそう。これで、いつ小学校から「お茶の授業をやってほしい!」という声が挙がっても問題ない。

2014年に1号が発行され、これまで3冊が制作された『とりつじん』

日本茶インストラクターという肩書きの他に、三室さんにはもう1つの肩書きがある。ガイドブック『とりつじん』の発起人という肩書きだ。『茶舗 大坂や』の最寄駅は、東京急行電鉄東横線都立大学駅。その都立大で働く魅力的なお店の人を紹介しているガイドブック。
「都立大学駅って、各駅停車しか止まらなくて、隣には自由が丘駅という人気者がいる。ここは割と沈んだ地域なんです。このままだとまずいぞと思った30代、40代の若手が集まって、この地域の魅力を知ってもらえるガイドブックを作ろうと話合いました」。
なるほど『とりつじん』は、写真も地図も載せていないユニークなガイドブックだ。まるで絵本のように似顔絵で埋め尽くされている。その似顔絵はなんと、1人1人違うイラストレーターの方が描いているというから驚きだ。カラフルでポップな似顔絵、ぬくもりのある暖かな似顔絵、全く異なるタッチの世界観がページをめくるごとに現れる。

『とりつじん』は都立大商店街の各店舗にて配付されている

イラストレーターの方の取材に、三室さんも同行し、1人1人の人生に触れ合っている。現在は、59人の人生に出会うことができた。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに100人掲載したいと話す三室さん。「とりつじん100人、イラストレーターさんも100人。そうなったら誰も真似できないんじゃないかな」益々手間と愛情を込められたガイドブックになるだろう。
『とりつじん』にそれぞれの人生が詰まっているように、日本茶専門店のお茶にも店主の人生や思いが反映されている。「店主の好みによって、お茶屋の雰囲気も全然違いますよ」と三室さん。『茶舗 大坂や』には、三室さんのお茶への情熱と、バンドマン時代に培った”ロック魂”が宿り、こだわり抜かれた茶葉が待ち構えていて、あなたの今の気分に寄り添ったお茶を提供してくれる。その時間は、忙しい毎日の中にホッとする瞬間をもたらしてくれることだろう。

三室さんとお母様がいつでも温かく迎えてくれる

【店舗情報】

住所 東京都目黒区八雲1-11-19
TEL 03-3717-6122
営業時間 9:30~20:00
定休日 日・祝日
公式サイト https://osakaya-meguro.jimdo.com
facebook https://www.facebook.com/kikkosan.osakaya/
とりつじん公式サイト http://www.toritsuzine.tokyo

Editor

  • おおいし ゆりな
  • おおいし ゆりな
    Yurina Ooishi

    人の”思い”を文章で伝えるライター。映画監督、俳優、スポーツを通じた国際展開をしている人物へのインタビューを中心に様々な媒体で活躍している。出身地は茶どころ静岡。お茶を飲み終わるまでが食事という家庭環境の中で育つ。最近は置物と化してる急須だが、お茶に関わる方に触れ合い、お茶を淹れる心の余裕を持ちたいと思っている。

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