元金融ウーマンの日本茶インストラクターが東京・四谷にオープン!
日本茶をコンセプトにした家庭料理のお店『い寿み』

東京・四谷の飲食店街・しんみち通りに2018年4月、日本茶をコンセプトにした家庭料理のお店『い寿み(いずみ)』がオープンした。
お店を切り盛りしているのは、日本茶インストラクターとして活躍している小泉優子さん。前職では外資系金融機関に勤務し、バリバリ働いていたという異色の経歴の持ち主だ。

着物でお店に立つ小泉優子さん

そんな小泉さんは金融ウーマンとして働いていた頃から、お茶の淹れ方や健康をテーマにした日本茶講座を不定期で開催している。

働く女性にも人気の小泉さんの日本茶講座

 

しんみち通りに導かれて


どうして小泉さんは四谷という土地、それも飲み屋が多く立ち並ぶ、しんみち通りを選んだのだろう。まずはお店オープンの経緯について教えてくれた。

 

「きっかけは、自分の日本茶教室を開くための物件探しだったんです。講座をやろうとすると場所探しがいつも大変なので、固定で一ヶ所借りてしまえば楽だと思い、家の近所でちょうど良い物件がないか探していました」

 

そしてある日、不動産から一つの物件を紹介された。

 

「不動産屋さんからこの物件を紹介してもらった時に、一瞬で日本茶教室をやるイメージができたんです。なかなか空き物件が出ないと言われている四谷なので、次があるとも限らないと思い、思い切って借りました。そして、たまたま場所が、四谷駅前のしんみち通りという飲み屋街にあったので、この場所に借りたからには日本茶をテーマに夜の営業もしてみようと『い寿み』を始めました」と小泉さん。

 

流れに身を任せるかのように、四谷のしんみち通りに誕生した『い寿み』。
そして、ほぼ同時に小泉さんは、新卒から勤めてきた会社を卒業。日本茶と共に新たな人生をスタートさせた。

お店までは四ツ谷駅から徒歩約2分

 

日替わりで並ぶ手作りのおばんざい

 

お店で提供される料理は、季節の食材を使ったおばんざいが中心。すべて小泉さんの手作りだ。「お茶のドレッシンクで食べるサラダ」や「夏野菜の抹茶白和え」など、日替わりで毎日7種類のヘルシーで彩りも豊かな惣菜が並ぶ。

 

「実は飲食業で働いた経験はなくて、料理も習ったわけではないんです。ただ、昔から料理をするのは苦ではなかったんですよ」と小泉さん。

「季節のおばんざい」は7種類の料理から好きな5品を選ぶ

 

飲食業は初めての小泉さんだが、おばんざいの味は確か。どの惣菜も温もりが溢れるものばかりだ。その料理の腕を身につけられたのは、母親との思い出が影響しているという。

 

「実家は自営業を営んでいたので両親はいつも忙しく、母は家族や従業員のために一日に何回も食事を作らなければなりませんでした。母が料理をしていても途中で従業員に呼ばれると、料理を中断して仕事を手伝わないといけないなんてこともあったんです。そんな時に、私が調理を引き継いで作るということがよくありました」と小泉さん。
そのように忙しい母の料理を手伝う中で、小泉さんの料理の腕はどんどん上達していった。
その経験と母親との想い出が、『い寿み』に並ぶおばんざいの一つ一つに詰まっているのだろう。

 

日本茶インストラクターがお勧めするお茶酒

 

ドリンクは、日本茶インストラクターの資格を持つ小泉さんが自ら仕入れたお茶と、お茶と同じ産地の焼酎で作るハンドドリップ緑茶ハイ(熊本産の玉緑茶×米焼酎白岳など)が看板メニュー。そのほかにも、ほうじ茶やゆず緑茶、玄米茶などが選べる「檸檬とお茶のサワー」など、お茶を取り入れたメニューが揃う。

 

「普段、お茶をあまり飲まない方にこそ来ていただきたいです。このお店がきっかけになって、お茶の美味しさはもちろん、お茶の種類がたくさんあることなど、お茶についてもっと知ってもらいたいです」と小泉さん。

産地ごとの味の違いを楽しめる「緑茶ハイ」

 

お店のカウンターは、日本茶教室を開いた際に、小泉さんがしっかりと生徒に目が行き届くようにと真ん中がくり抜かれている。
店内は、小泉さんの家に遊びに来たかのようなアットホームな空気が流れ、ゆっくりと食事が楽しめる。そんな店内の設計も自ら手がけたのだという。
そのようにお店の立ち上げから営業、経営まで一人でやってのける、小泉さんのバイタリティは、どこから来るのだろうか。

12名が座れるカウンター席

 

トルコチャイとの出合い

 

 「旅行が好きで、年2回は行きます。食の旅が中心ですね。旅行中に料理のアイデアをもらうこともたくさんあります。旅でおいしそうな食材を見ると買って、メニューに加えています」と楽しそうに話す小泉さん。
いろいろな土地に行って、広い視野で物事を見ているからこそバイタリティに溢れているのかもしれない。

 

実は、小泉さんと日本茶の出合いも元をたどれば、旅行がきっかけ。トルコ・イスタンブールでチャイのおいしさに感動したのが、お茶との深い付き合いのはじまりだった。
紅茶は渋みがあり少し苦手だという小泉さんだが、トルコで飲んだチャイは紅茶と同じような見た目にも関わらず、渋みがなくとてもおいしいと感じたという。
「でも、なぜ私はチャイがおいしいと感じたの?」小泉さんは、その小さな疑問を解くために、チャイと紅茶の違いを調べてみると、チャイの方が、紅茶より発酵度合いが低いことがわかったのだ。

 

「調べてみると、チャイは紅茶に比べて発酵度合いが低く、不発酵茶に分類される日本茶に近いお茶だとわかりました。だから普段から飲み慣れている日本茶に近いチャイが飲みやすく、おいしいと感じたんだと腹落ちしました。で、その時に“そういえば私って日本人なのに日本茶のことを何も知らないな”と気づいてしまったんです。そこからですね、日本茶の勉強を始めたのは」

 

好奇心で始めた日本茶の勉強だが、いつの間にか日本茶の魅力にはまり、日本茶インストラクターの資格も取得。その後は、様々な場面でお茶の魅力を伝え、日本茶の普及を行う立場になっている。

2016年に小泉さんは日本茶インストラクターに

 

茶文化の未来を見据えて

 

小泉さんが日本茶について学ぼうと思った時に感じたのは、茶道の教室に比べると、日本茶が学べる教室が圧倒的に少ないという現状だった。
「お茶を淹れるのは難しいことではないので、おいしい淹れ方を知らないのはもったいない気がします。お茶の淹れ方を習えるところがまだまだ少ないので、日本茶教室や日本茶インストラクターとしての活動を通して、おいしいお茶を淹れたいと思っている方との接点をもっとたくさん作っていきたいです」と小泉さん。
『い寿み』は現在、夜の営業のみだが、いずれ昼に日本茶教室を開催していくという。

 

最後に日本茶の世界に生きる小泉さんの夢を教えてくれた。
「コーヒーが飲めるカフェはどこにでもありますよね。そんな風に日本茶も広まり、どこでも飲めるようになったらいいなと思います。カフェのメニューに、コーヒーと一緒に日本茶が並んで載っているのが当たり前になり、日本茶が日常に溢れるようになってほしいです。“お茶しよう”の選択肢に、コーヒーと紅茶に並んで日本茶が入るような世の中にすることが夢です」と力強く話してくれた小泉さん。

 

チャイを通して日本茶の魅力に気付いた小泉さんのように、『い寿み』を通して、日本茶の魅力にはまる人たちが増えれば増えるほど、日本茶をおいしく淹れられる人たちも増えて、小泉さんの夢の実現に少しずつ近づいていくに違いない。

 

 

店舗情報
住所 東京都新宿区四谷1-3津嶋ビル3階
営業時間 18:30〜23:00(要予約)
定休日 水、土、日、祝日
URL https://greentena.com
Facebook https://www.facebook.com/yotsuyaizumi/

Editor

  • おおいし ゆりな
  • おおいし ゆりな
    Yurina Ooishi

    人の”思い”を文章で伝えるライター。映画監督、俳優、スポーツを通じた国際展開をしている人物へのインタビューを中心に様々な媒体で活躍している。出身地は茶どころ静岡。お茶を飲み終わるまでが食事という家庭環境の中で育つ。最近は置物と化してる急須だが、お茶に関わる方に触れ合い、お茶を淹れる心の余裕を持ちたいと思っている。

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